久しぶりに会ったその人は

久しぶりに会ったその人は
8ヶ月間 入院していたのだと言った


病院のベッドで 両手の自由が効かない状況で
今までに前例のない 手術を受ける事になった


恐怖と絶望を味わった


誰とも会いたくない 



人間関係もこじれ
多くの人間が自分の元を 去って行った・・・



久しぶりに会ったその人は


そんな壮絶な8ヶ月間を過ごしてきたとは
とても思えないような すがすがしい表情で
そんな話をしてくれた


もともと 長髪をなびかせて


あだち充の漫画に出てくるような
スマートで爽やかなお兄さんだ



奇跡的に治ったからね これからは
仕事を頑張ろうと思うんです って



いやいや 今まで頑張ってなかったんかい


などと 野暮な事を言ってはいけない




客商売ではあるが
自分のペースで楽しくやって行こうと


それでもついて来てくれる人や
縁のある人が残っていけば それで良い って



久しぶりに会ったその人は 言っていた



5月の 暑過ぎる日曜日の昼下がり


たぶん どこの映画館に行っても上映していないような


素敵な話だった。