一見を求めて

大好きな旅行作家 下川裕治さんの新刊が発売された
今回は シンガポールとマレーシア
週末シンガポール・マレーシアでちょっと南国気分 (朝日文庫)
この2つの国には 僕も行ったことがあるが
まぁ なんと言うか
「百聞は一見に如かず」という言葉を
あれほど 実感したことはなかった


唾を吐いただけで 罰金を取られる
と聞いていたシンガポールの街は 
実際には かなり汚かったし
人々は 唾を吐くどころか
たばこの吸い殻さえも 平気でポイと捨てていた
そして それを取り締まるはずの警察官など
どこにも居なかった という 貴重な一見


日本人が住みたい国ナンバーワン と聞いていた
マレーシアの街もまた
シンガポールに負けず劣らず 汚れていたし
こんなマナーの悪い国で 日本人が
安心して暮らせるわけがないだろう という 貴重な一見


限られた場所と時間の中でだけの 感覚だけど
僕はこの2つの国に行き そんな感想を持った


とはいえ
偶然行くことになった シンガポールの街の空気は
僕が長年封印していた 海外一人旅を
その後再開するきっかけとなったし


大好きな詩人 金子光晴の足跡を求めてさまよった
うだるような暑さの中の マレーシアの町並みは
今でも心のどこかに 確かな記憶として残っている


「イメージ通りの」街と同じぐらい
「聞いてたのと違う」街というのもまた
面白いものだなー とも感じた


そんなわけで
また どこかの国の 
新しい「一見」に出会ってみたい